健診結果のチェック
問診・診察
受診者の状態や基礎情報を診る
身体計測をおこない、医師が直接診察します。
BMI(体格指数)や、肥満度が大きいほど、病気にかかる確率も高くなります。
検査項目
問診
受診者の病歴や自覚症状などの質問をもとに、医師が予備的な診断を行います。メタボ健診では定められた質問項目がありますので、全ての質問に答えていただきます。
身長・体重
身長と体重を測ります。BM(I 体格指数)、肥満度を算出して注意を喚起します。
内科診察
聴診で心臓や肺(胸)、触診で胃腸や肝臓などの腹部臓器(お腹)を調べます。そのほか、貧血や甲状腺の腫れなども調べます。
視力検査
近視、遠視など目の働きの度合を調べます。
聴力検査
難聴の有無や程度を調べます。
腹囲測定
立位でおへその高さでお腹のまわりを計測し、内臓脂肪の蓄積度合を調べます。
血圧の検査
高血圧は、長く放っておくと動脈硬化の一因となり、脳卒中や心臓病などの合併症を引き起こします。
血圧をコントロールするには、気長に減塩食などの食生活を続けることや、ストレスのない心身ともに安定した状態を保つことが重要です。内臓脂肪は血圧上昇の一因になります。肥満にも注意しましょう。適度な運動は末梢の血管を増やし、高血圧を防ぎます。
検査項目
血圧測定
高血圧、低血圧の有無をみます。高血圧は循環器(心臓・血管)の異常のほか、腎臓、内分泌や代謝系の異常を知る手がかりにもなります。
もし、「血圧が高い」といわれたら
- 塩分は1日6~7gに減らす
- 太りぎみの人は摂取カロリーを減らす
- 野菜を十分にとり、バランスのとれた食事をとる
- 熱い風呂やコーヒー、タバコ、酒などは控える
- 十分に睡眠をとる
- 適度な運動を行い、血管の老化を防ぐ
- 寒いところに出る時には防寒に気をつける
- イライラしたり、怒らないようする
- 自宅で血圧をチェックする
脂質の検査
血管壁への脂質の沈着は、脂質が血液中に異常に増えた状態が長く続くと起こります。この状態を高脂血症といい、動脈硬化を引き起こし、高血圧や心筋梗塞の重大な因子となります。
悪玉( L D L )コレステロールが多く、善玉(HDL)コレステロールが少ない場合には、動脈硬化をきたしやすいので、HDLコレステロールを増やしLDLコレステロールを減らす食生活の改善をしなければなりません。また適度な運動をしてHDLコレステロールを増やしましょう。
検査項目
総コレステロール
細胞膜や血管壁、副腎皮質ホルモンなどの合成材料になります。多すぎると動脈硬化の危険因子になります。
中性脂肪
肝臓で合成されるエネルギー源。増えすぎると肥満、脂肪肝になり、動脈硬化の危険因子になります。
HDLコレステロール
余分なコレステロールを肝臓に運び、善玉コレステロールと呼ばれます。低下すると動脈硬化がすすみます。運動不足で低下します。
LDLコレステロール
コレステロールを肝臓から全身の細胞に届けます。必要以上に増加すると、動脈硬化を促進するため、悪玉コレステロールと呼ばれます。
対策
- 動物性脂肪の多い食品は避け、食物繊維を積極的に摂る
- 適度に運動する
- 肥満を避け、禁煙を心がける
- 魚の脂肪は不飽和脂肪酸が多くコレステロール値を下げる働きがあるので積極的に摂る
- 卵黄、乳製品、動物性脂肪、魚の卵などコレステロールの多い食品を控えめにする
- 飲み過ぎは中性脂肪を増やすので、酒は1合程度までとする
肝機能の検査
血液中のGOT、GPT、γ-GTPなどの酵素や蛋白質を測り、肝臓の異常の有無を調べます。最近の日本人では脂肪肝とアルコール性肝障害が多いですが、ウイルス性肝炎が隠れていることもあります。ウイルス性肝炎の場合には、後に肝硬変、肝臓がんに進行することがあるので注意が必要です。脂肪肝は食べすぎ、運動不足、アルコールの飲み過ぎなどにより起こりますので、生活習慣の改善が必要です。
検査項目
GOT(AST)
肝臓障害があると敏感に増えます。
GPT(ALT)
肝炎や脂肪肝で敏感に値が高くなります。
γ(ガンマ)-GTP
アルコール性肝障害、胆道系疾患で値が高くなります。
ALP
肝炎や胆道系疾患、骨疾患などで値が高くなります。
精密検査
ZTT
数値が高い場合は慢性肝炎や肝硬変などが疑われます。慢性疾患でも上昇します。
HBs抗原
B型肝炎ウイルスに感染しているかどうかを調べます。
HCV抗体
C型肝炎に感染しているかどうかを調べます。
総蛋白
高度の肝機能障害があると値が低くなり、骨髄腫などで高くなります。
アルブミン
栄養状態が悪いときや肝臓に障害があると、血液中の値が低くなります。
総ビリルビン
寿命を終えた赤血球のヘモグロビンの分解産物で、肝臓で分解され胆汁として排出されます。肝機能障害があると値が高くなります。
LDH
全身のあらゆる細胞に含まれる酵素で、肝機能の悪化やがんで値が高くなります。
腹部超音波検査
超音波で肝臓などの臓器の断面を見る検査で、肝臓疾患の精密検査に欠かせません。
代謝能の検査
血糖値が高いだけでなく、ブドウ糖負荷試験で糖を利用する能力が低下していると糖尿病と診断します。また、自覚症状として尿量が多かったり、のどがかわく、体重が減少する、からだがだるい、といったことがあれば、かなり進行している可能性があります。糖尿病は、経過とともに、視力障害や尿毒症、知覚異常、手足のしびれ、むくみ、そして場合によっては脳卒中や心臓病などの恐い合併症を起こします。
検査項目
血糖(空腹時)
空腹時に血液を採取して調べます。
尿糖
血糖値が高いと尿中に排泄される糖が増えます。
HbA1C
過去1~2ヶ月間の血糖値の平均値を反映する検査です。血糖値よりも信頼性が高い検査です。
尿酸
溶けにくい尿酸が血液中に多くなると、痛風の危険が増えます。
精密検査
糖負荷試験
ブドウ糖の溶液を飲み、一定時間ごとの血糖値と膵臓のホルモン(インスリン)の変動を調べます。
対策
糖尿病のタブーは、食べ過ぎ、偏食、不規則な食事、運動不足などです。まず、食事の量は1日に標準体重1kgあたり25~30キロカロリー。たんぱく質、ミネラル、ビタミンを適切にとり、味付けも薄めに。コーヒーなどの飲み物や果物の糖分も、とり過ぎないように注意しましょう。
- 食べ過ぎ、飲み過ぎ、間食・夜食を控える
- からだを動かし、肥満の人は早急に計画的減量を開始する
- ストレスは早めに解消し、十分な休養をとる
「尿酸値が高い」といわれたら
高尿酸が続くと関節などに激しい痛みが起こります。これが痛風です。放っておくと、心臓や腎臓、血管などに障害を起こすことがあるので早めの治療が必要です。
血液検査
血液中のヘモグロビンは、からだの中に酸素を運ぶ大切な役割を果たしています。それが不足している場合を貧血といいますが、多くの場合、良質のたんぱく質や鉄分の補給が必要です。
貧血には多くの原因があり、ときには重大な病気が潜んでいることもあります。「貧血を認めます」と言われたら、たとえ自覚症状がなくても医師に診てもらいましょう。
検査項目
Ht(ヘマトクリット)値
赤血球の容積が血液中に占める割合を示したものです。低い値は貧血が疑われます。反対に脱水症や多血症では高い値になります。
Hb(ヘモグロビン)
血色素量のことです。これが少ないと十分な酸素を運搬できず、貧血が疑われます。
赤血球数
少ないと酸素の供給不足になり、貧血等が疑われます。MCV、MCH、MCHCは貧血の種類を判定するための計算値です。
白血球数
細菌やウイルスなどの外敵から体を守るのが白血球の役目です。高い値は、感染症、白血病など、低い値は血液の病気が疑われます。喫煙者では高目になることがあります。
血小板数
高い値は慢性炎症、血液の病気、がんなど。低い値は肝硬変、血液の病気、感染症、がんなどが疑われます。
もし、「貧血」といわれたら
貧血の治療の食事では、つぎのことに気をつけましょう。
- 良質のたんぱく質、鉄分、ビタミンC、Eをたくさん摂る
- 3食の食事をきちんと摂る
- インスタント食品や外食を控え、栄養のバランスのとれた食事を心がける
尿検査と腎機能
尿検査は腎臓病の大切な情報源です。尿蛋白が出ていたら、主として腎臓の病気が疑われます。尿潜血反応が認められれば、腎臓から尿道までの尿路のどこかで、出血があることを示しています。これらのいずれの場合も精密検査を必要とすることが多く、まず、原因を確かめることが大切です。
検査項目
尿蛋白
健康なときの尿にはほとんど排泄されません。疲れがひどいときにも尿蛋白が出ますが、その場合は回復すれば陰性となります。尿蛋白が認められたら、腎臓の病気のほか、何らかの異常がからだに起こっていることがあります。
潜血
腎臓で作られた尿が排泄されるまでの経路を尿路といいます。尿路のどこかに感染症、結石・腫瘍等があると、尿に血が混じることがあります。
クレアチニン
血液中のクレアチニンの測定は、腎機能が正常かどうかをみるためにたいへん重要です。クレアチニンの値が高ければ高いほど、腎障害が進んでいると考えられます。GFRは年齢とクレアチニン値から計算した腎機能の指標です。
精密検査
尿沈渣
尿の中の細胞成分や細菌を顕微鏡で調べます。
大腸検査
大腸がんが増加の一途をたどっています。増加の原因は、「高脂肪・低繊維食」のような食生活の西洋化にあるといわれています。脂肪の摂りすぎに注意し、食物繊維を十分摂り適度な運動を心がけましょう。
検査項目
免疫学的便潜血反応(二日法)
便の中に血液が混じっているかどうか、おもに大腸や直腸などの下部消化管出血の有無を調べます。
精密検査
大腸造影検査(注腸X線検査)
肛門からバリウムを注入し、X線撮影し大腸内のがん、ポリープの有無を調べます。
直腸診
腫瘍など直腸病変が疑われる時、医師が指で診察します。
大腸内視鏡検査(大腸ファイバー)
肛門から内視鏡を挿入し、大腸・直腸の異常(ポリープ、がんなど)の有無を調べます。
生検
組織を採取して、くわしく調べます。
医師が直接診断する検査
検査項目
心電図
心臓のさまざまな状態をチェックします。不整脈はないか、心臓肥大はないか、狭心症、心筋梗塞の疑いはないかなどを調べます。
胸部X線
主に肺や心臓の様子を調べます。
胃部X線造影検査(胃透視)
バリウムを飲んでX線撮影し、食道・胃・十二指腸の状態をみます。潰瘍、ポリープ、がんなどを調べます。
胃内視鏡(胃カメラ)
内視鏡で食道・胃・十二指腸を観察し、胃炎、潰瘍、ポリープ、がんなどを調べます。
精密検査
運動負荷心電図
運動をして心臓に負担を与えこれに伴う心電図の変化をチェックします。狭心症、筋梗塞などを調べます。
心臓超音波検査(心エコー)
心臓の形態や筋肉、弁の異常、心臓の機能などを調べます。
喀痰細胞診
痰をとって顕微鏡で調べます(主に肺がんの有無)。
生検
内視鏡の先端から鉗子(ピンセットのような道具)で組織のを採取して調べます。
胸部CT
胸の断面の写真を撮って詳しく調べます。
乳房と子宮検査
乳がんは問診、視診、触診で検査されます。乳房は自分でも見たり触れたりでき感触も十分確かめることができるので、自己検診も普及しています。子宮がん検査は20歳代からできやすくなる頸がんの検査です。
検査は子宮開口部に近い子宮頸部から、こすりとるように採取した細胞を標本にして、顕微鏡で細胞を調べるものです。
現在の医療では初期の段階では、乳がん、子宮がんを含む多くのがんを完治することができます。早期発見、早期治療が大事です。
検査項目
乳がん検査
乳房を視診、触診および乳房X線撮影(マンモグラフィ)で、乳がんを調べます。
細胞診(スメア)
子宮頸部の細胞を軽くこすりとった標本で、がん細胞の有無を調べるのが細胞診(スメアテスト)です。
精密検査
超音波検査
乳房または子宮の様子を超音波断層装置で調べます。
生検
細胞や組織を採取して、くわしく調べます。
ヒトパピローマウイルス検査
子宮頸がんの原因となるウイルスの有無を調べます。